佐々木店長の好きな江戸時代の初期中期には写真というものはありませんでしたが、写真の発明から30年ほど経った幕末頃には日本でも撮影記録が残っています。中でも1863年から日本に滞在していたイギリスの写真家、フェリーチェ・ベアトの写真集「Views of Japan」は貴重な江戸の町並みを記録してくれています。
維新直後の荒廃した江戸城の写真も貴重ですが、店長の好きなそれは、麻布の赤羽橋付近から中乃橋方面を撮影したパノラマ写真です(画像①)。真ん中を流れるのが古川(現在の渋谷川)です。その左側にある大名屋敷が、現在の都立三田高校あたりにあった有馬屋敷(久留米藩二十万石の上屋敷)です。25,000坪ほどの敷地ですから、ざっとテニスコート125枚分、サッカーフィールド12枚分くらい。驚くべき広さですね。江戸切り絵図(画像②)と現代の地図(画像③)で比較するとその広さが想像出来るのではないでしょうか。川の右側は都営大江戸線の赤羽橋駅付近です。道の構造が変わっていないのには、改めて驚かされます。
ところで画像④が同じ場所から見た現在の風景です。ベアトの写真とほぼ同じ場所からの景色です。(自分で撮影すればよかったのですがゴメンなさい)手前の車に隠れていますが、真ん中にかろうじて川が見えていますね。その左右と言えば・・・高速道路とビルに遮られて、遠景の眺望が望めないばかりか、まったく昔の面影はありません。ベアトの撮影から約160年後の江戸です。このベアトの写真の空間と空の広がりと今を見比べてみると、一個人が嘆いても仕方のないことだとは思いつつも、いつも一抹の寂しさ(と懐かしさ)を感じてしまいます。たった160年でこの変わりよう。東京は、日本は、そして世界の100年後はどうなっているのでしょう・・・
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