出版業は江戸時代に発達しました。それによって商品情報を、より多くの人に伝えることが可能になった訳です。そのためのツールが「引札(ひきふだ)」、いわゆるチラシ広告です。
もっとも早い引札は、天和三年(1683年)に三井越後屋の越後屋八郎右衛門が出したものだと言われています。画像①は、その越後屋が正徳六年(1716年)に発行したもので、「現銀掛け値なし」は駿河町と三井越後屋だけが本家本元だと言った内容のものです。越後屋は元々、銀遣いの伊勢の出身なので「現銀」と書いて「げんきん」と読ませていたようです。
このあと、日本のコピーライターの草分けと評された平賀源内や、1795年に出された山東京伝の煙草広告(画像②)など、見る人を飽きさせないようなアイデア満載の広告が次々と誕生していくようになりました。
1980年代バブル期の広告業界を(ノロノロと)駆け抜けた佐々木店長も、それなりにこの黄金期を楽しんだ1人です。とは言え現代の商品情報は、SNSからが主流になってしまって、信憑性も著作権もかなりグレーなものが多くなってしまった気がします。デジタル化は便利な反面、振り回される危険性もあります。知的なアイデアで紹介された本物の商品を見極める目を持ちたいな、と改めて思う今日この頃であります。
【資料参考】「江戸時代館」(小学館刊)/アドミュージアム東京