佐々木店長が、デザイナーとして広告代理店に入社した頃は、デザイナー職専門のクリエーティブ研修が終わると、終了祝いにデザイナー用グッズ(?)が配布されました。まだアナログ全盛の時代なので、配給されるのは、烏口、直線を引くための補助ガラス棒と溝の入った定規、コンパスとディバイダー、それに版下製作用のロットリングペンセットなどです。中でも必須なのが、書体メーカーである(株)写研の級数表と書体見本帳でした(画像①)。コピーライターが書いたコピー文字数(もちろん何文字あるか数えます)が、レイアウトしたコピースペースに入るかどうか調べるにはこの2つはなくてはならないグッズでした。
今でこそフォントメーカーのトップは(株)モリサワですが、この頃は書体数が多かった写研の写植の方を当時の殆どのデザイナーは使っていた気がします。(モリサワは値段も高かったし・・・)写研の石井明朝やゴシック、ゴナ系の書体などはよく使用しました(画像②)。
しかし1989年に、Macにモリサワの2種のデジタルフォントが搭載されてからDTPが発達し始め、これ以降、印刷物はアナログからデジタルに急速に変化して今に至ります。現在では日本語フォントも実に多種多様で、読みやすさを追求したUD(ユニバーサルデザイン)化の波も勢いを増している感じです。
フォントのデジタル化で後塵を拝した写研ですが、店長は(個人的には)写研のフォントの方が味がある気がしますし、懐かしさも相まって肌に合う気がします。もっともこれには、前述の級数表でコピーの級数や詰め、行間や段組みを決めて発注し、上がってきた版下を指示通りに組まれているか(夜中の12時くらいに)確認した数十年前の想い出がかなり影響しているでしょうけど・・・。
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