CI(コーポレート・アイデンティティ)規定には、理念、社名、スローガンなどありますが、それらを社内外に浸透させるための目に見える規定に、VI(ビジュアル・アイデンティティ)があります。その中で、開発した社名ロゴの使用や、デザインした名刺などを製作する時の約束事をまとめたものを、VIデザインマニュアルと言います。(他にも色々な呼び方がありますが)
基本的にこれは社外秘なので、一般的には出回りません。なので、打ち合わせをすると、たまにその内容はもとより存在すらご存じない関係者の方がいますが、実在の会社のマニュアルを見せるわけにはいかないので、そういう時のために、架空の社名をベースにしたマニュアル見本を、ずいぶん昔に作りました(画像①が表紙)。ヒッツ株式会社のhitsは、私(店長)の本名をもじったものです。画像②は、ロゴ規定をまとめたベーシックデザインシステムページの目次ですが、ロゴの形や色指定一覧のA-1(画像③)を始め、最低限必要な規定をまとめています。結構大事なのが、使用禁止例(画像④)で、ここをキッチリ定めておかないと、まとまりがない使われ方をしてブランドとして成り立たなくなります。
このロゴを規定通り使用して、名刺や封筒などの様々なアイテムを制作する時に、製作業者さん向けにまとめたものが、アプリケーションデザインシステムです。その一例として、名刺を規定したものが画像⑤です。このマニュアル見本には、最低限のアプリ規定しか入れていませんが、画像⑥にあるように、その企業独自のものも含めてありとあらゆるアイテムがあります。ここのアイテム部分だけで数百ページのマニュアルシステムを手がけたこともあります。
ブランディングとはロゴだけ作って終わりではなくて、それをキッチリ運用してこそ一貫したものとなります。それとて、何年もたつと、時代の移り変わりとVIの運用に齟齬が生じてくるので、ある一定期間(大体10年くらい)ごとに見直しをかける必要が出てきます。何と言ってもブランドは生ものなので、賞味期限がありますから。